電気回路表紙の作り方
「紙に電気回路を印刷する」
AgICの販売する銀ナノ粒子インクを用いることで、そんなことが実現できます。
私はコミケC89で販売した同人誌の表紙に電気回路を印刷しました。
この記事では、その制作方法を紹介したく思います。
②印刷準備
AgICで専用インクを購入します。
プリンタはLC12カートリッジに対応している以下の機種から適当な物を用意します。
MFC-J6710/J5910/J6510/J960/J955/J860
J825/J810/J710/J705
DCP-J940/J925/J840/J740/J725
J540/J525 シリーズ
私はAmazonで5,000円くらいの中古プリンタを購入しました。
カートリッジをプリンタにセットします。
セット後はプリンタの機能にある印刷品質チェックを実行して、以下のように全てのカートリッジから正常にインクが出ているのを確認します。
おそらく何度かノズルのクリーニングを行わないと、正常な状態にはならないと思います。
詳細な方法はYouTubeの解説動画をご覧ください。
➂印刷
AgICの販売する専用紙もしくは代替の光沢紙を購入します。
富士フィルム WPA455VA
富士フィルム WPA420HIC
コクヨ KJ-D12A4-20
ブラザー BP71GA4
印刷設定を最高画質、光沢紙に選択します。
あとは普通に印刷するだけです。
④表紙作成
印刷した紙を加工して本を包み込む表紙に仕立てます。
まず印刷した紙を筋押しします。
カッターの背面で溝を作り、折り曲げます。
厚紙に印刷した裏表紙を用意します。
この2つを貼合わせて表紙にします。
⑤部品の用意
表紙に貼り付ける部品は、チップLED、7セグLED、マイコン、ボタン電池ホルダの4つです。
マイコンには秋月電子で購入したR5F10Y16ASP使用 RL78マイコンモジュールを使用しています。
これにプログラムを書込みます。RENESASのE1を用いて、マイコンと自作治具を接続して書込みました。
なお裏表紙に印刷してあるプログラムが、このマイコンに書き込んだプログラムです。
RL78にピンを取り付けて、黒い固定部を取り外し、適当な長さに切り揃えます。
7セグLEDは入手できる中で、最も薄い物を選びました。
この7セグLEDはそのままでは通電性が悪いので、ハンダでピンを取り付けて端子に電気が通りやすくします。
⑥部品の貼り付け
本来ならば、この表紙に部品を取り付けるには、導電接着剤か導電テープを使用することが推奨されています。
ですが、導電接着剤は高価で量が少なく、導電テープは細かい部品の取り付けに不向きです。
同人誌は50部作成する予定だったので、表紙も50個用意する必要がありました。そのため部品を直接に紙と密着させて通電させる方法を採用しました。
ですが、この方法では品質が安定しないという問題があり、今後の課題となっています。
電源を供給して光り方を確認しながら部品を貼り付けます。
そのために安定化電源を接続して3Vを供給しながら作業を行います。
チップLEDを接着剤で取り付けます。
接着個所は前後の2箇所です。接着剤が乾くまで押さえつけます。
乾く前に手を放すと、チップLEDと表紙の間に接着剤が入り込んで電気が通らなくなってしまうのでご注意ください。
チップLEDを貼り付けると以下のようになります。
次に7セグLEDの裏にセメダインを塗って表紙に貼ります。
この状態では7セグLEDが表紙に密着していないので、ピンを押さえつけながらハンダを溶かすと、ピンが下に滑り落ちて紙と密着し通電するようになります。
念のため接着剤でピンを固定します。
7セグLEDを貼り付けると以下のようになります。
作業の中で一番難しいのがマイコンの貼り付けです。
重しでマイコンを固定して、指でピンを押しながら紙とピンがうまく密着していない端子を探します。
(指で押した時にLEDが光り、指を離した時に消えてしまう端子が、密着していない端子です。)
7セグLEDと同様に、ピンをハンダで溶かして紙と密着させます。
ピンと紙が密着した状態でマイコンを押さえつけながら、接着剤でピンを固定します。
マイコンを貼り付けると以下のようになります。
部品の貼り付けに成功すると、以下のようにLEDの点灯が確認できます。
最後にボタン電池ホルダをセメダインで取り付けます。
ボタン電池ホルダの電極を接着剤で固定して紙と密着させます。
実際に頒布した表紙は、この作業をしていなかったため、ボタン電池ホルダがうまく通電しないという不具合がありました。
以上で電気回路表紙は完成です。